さんずいの漢字大全｜沐・渶・淦・浙の読み方・意味・使い分けを徹底整理

「さんずいに木」や「さんずいに英」など、見たことはあるけれど読めない漢字に出会ったことはありませんか。

この記事では、「沐（ぼく・もく）」「渶（えい）」「淦（かん）」「浙（せつ）」といった“さんずい”のつく漢字をわかりやすく解説します。

それぞれの音読み・訓読み、意味、そして地名や熟語としての使われ方まで網羅的にまとめました。

難読漢字を正しく理解することで、語彙力だけでなく日本語への感性も豊かになります。

仕事や日常で「ちょっと知的」に見られたい方も、ぜひこの記事で“さんずい漢字マスター”を目指しましょう。

さんずいに木（沐）の読み方と意味をやさしく解説

まずは、「さんずいに木」と書く漢字「沐」について見ていきましょう。

この章では、「沐」の読み方や意味、そして日常での使われ方をやさしく解説します。

沐の音読みと訓読み

「沐」は、音読みではぼく、またはもくと読みます。

訓読みではあら（う）やうるお（う）と読みます。

つまり、「水で洗う」「潤う」といった意味を持つ漢字です。

種類	読み方	意味
音読み	ぼく・もく	漢語としての読み方
訓読み	あらう・うるおう	日常での行動を表す読み方

「沐」に込められた意味と使われ方

「沐」という字は、さんずい（水）と「木」からできています。

この「木」は、「髪が垂れる様子」を表し、髪を洗うという行為に由来します。

つまり、「水で髪を洗う」＝「沐」という意味になるのです。

ここから派生して、「恩恵を受ける」「潤いを得る」といった精神的な意味でも使われます。

古代中国では「官吏が髪を洗うために休暇を取る」ことを「沐」と表すこともありました。

意味	例
水で洗う	沐浴（もくよく）＝体を清めること
潤う	恩恵を沐（こうむ）る＝恵みを受けること

「沐浴」「三薫三沐」などの熟語と例文

「沐」は熟語でもよく登場します。

たとえば「沐浴（もくよく）」は、「水を浴びて体を清めること」。

赤ちゃんをお風呂に入れることを「沐浴」と呼ぶのもこの意味からきています。

また、「三薫三沐（さんくんさんもく）」という四字熟語も有名です。

これは、「大切な人を迎えるときに、何度も体を洗い、香を塗って準備する」という意味で、相手を心から大切に思う気持ちを表します。

熟語	読み方	意味
沐浴	もくよく	体を清める
三薫三沐	さんくんさんもく	相手を敬い準備を整える

「沐」は単に「洗う」という行為だけでなく、心や人間関係を表す美しい言葉としても使われます。

「沐」は、清らかさと感謝の心をあらわす漢字といえるでしょう。

さんずいに英（渶）の読み方と使われる場面

次に、「さんずいに英」と書く漢字「渶」について見ていきましょう。

この章では、「渶」の読み方・意味・使われる場面をわかりやすく整理します。

「渶」の音読みと由来

「渶」は、音読みでえいまたはようと読みます。

訓読みは存在しないため、日常的な読み方ではなく、主に固有名詞や地名で使われる漢字です。

「英」の右側が音符（おんぷ）として使われているため、「えい」という読み方はそこから派生しています。

種類	読み方	特徴
音読み	えい・よう	「英」と同じ音を持つ
訓読み	なし	一般語としての使用はほぼない

「渶水（えいすい）」とはどんな地名？

「渶」は、中国に実在する地名「渶水（えいすい）」の一部として知られています。

これは、古代中国を流れていた川の名前で、地域の歴史や文化に関連して使われてきた漢字です。

日本では日常的に使う機会は少ないですが、古典や漢詩などで登場することがあります。

語句	読み方	意味
渶水	えいすい	中国の地名。古代の川の名前。

「瑛」との違いと見分け方

「渶」とよく似た漢字に「瑛（えい）」があります。

どちらも「えい」と読みますが、部首が異なり、意味もまったく違います。

「瑛」は「たまへん（王）」がついており、「玉の輝き」を意味します。

一方で「渶」はさんずいがつくため、「水や流れに関する漢字」と覚えると混同しにくくなります。

漢字	部首	意味
渶	さんずい	川や水に関する意味をもつ
瑛	たまへん	玉の輝き・透明感

見た目が似ている漢字ほど、部首の違いを意識するとスッと覚えられます。

とくに「渶」は日常では見かけにくいので、「水の流れに関する漢字」という印象で記憶しておくと良いでしょう。

さんずいに金（淦）の読み方と意味を解説

続いて、「さんずいに金」と書く漢字「淦（かん）」について見ていきましょう。

この章では、「淦」の読み方、意味、そして覚え方を丁寧に解説します。

「淦」の音読み・訓読み

「淦」は、音読みでかんまたはこんと読みます。

訓読みはあかで、船の底などにたまった水や泥のことを指します。

「さんずい」が付いていることからも分かるように、水や湿り気に関連する漢字です。

種類	読み方	意味
音読み	かん・こん	漢語的な読み。川や水に関係。
訓読み	あか	船底にたまった水・泥を表す。

「淦水」とは？川の名前の由来

「淦」は、中国を流れる川の名前「淦水（かんすい）」にも使われています。

この地名の由来は、古くからその川が濁っていたことや、沈殿物が多かったことに由来すると言われています。

つまり、「淦」には単なる水ではなく、「濁った水」「底に沈んだ水」というニュアンスが含まれているのです。

語句	読み方	意味
淦水	かんすい	中国に実在する川の名前

「金」と間違えやすい理由と覚え方

「淦」は右側に「金」があるため、「きん」と読んでしまう人も多いです。

しかし、この「金」は音を表すための部分であり、意味としての「金属」を指しているわけではありません。

覚えるコツは、「水＋金＝船の底にたまる“重い水”」とイメージすることです。

そう考えると、訓読みの「あか」＝汚れた水、という意味にもつながります。

混同しやすい漢字	読み方	違いのポイント
金	きん	金属を意味する。水に関係なし。
淦	かん	水に関連し、汚れた水を意味。

日常ではあまり見かけない漢字ですが、古典文学や地名に登場することがあります。

「淦」は“沈んだ水”を意味する、静かで深い印象のある漢字として覚えておきましょう。

さんずいに折る（浙）の読み方と意味

最後に、「さんずいに折る」と書く漢字「浙」について見ていきましょう。

この章では、「浙」の読み方、意味、そして地名としての使われ方を解説します。

「浙」の音読みと使われ方

「浙」は音読みでせつと読みます。

訓読みは存在せず、主に地名や中国関連の文脈で登場する漢字です。

「折（せつ）」の音を引き継いでいるため、読み方を覚えるのは比較的簡単です。

種類	読み方	意味
音読み	せつ	地名などに使われる読み方
訓読み	なし	一般的な日本語表現では使われない

「浙江省」と「浙江（せっこう）」の関係

「浙」は、中国の大河「浙江（せっこう）」の名前に使われています。

この「浙江（せっこう）」は中国東部を流れる大きな川で、その名をもとに「浙江省（せっこうしょう）」という省名がつけられました。

つまり、「浙」という字は地理的にも文化的にも重要な意味を持つ漢字なのです。

語句	読み方	意味
浙江	せっこう	中国の主要な河川のひとつ
浙江省	せっこうしょう	中国東部の省名

「折」との関係性と記憶のコツ

「浙」の右側にある「折」は、音を示す要素（音符）として使われています。

このため、「浙」は“折（せつ）”の音を持つ水の字と考えると覚えやすいです。

「折る」とは関係ありませんが、イメージ的には「水の流れが曲がるように折れている」と覚えると印象に残ります。

関連漢字	読み方	意味の違い
折	せつ・おる	物理的に折ることを表す
浙	せつ	川や流れに関する地名などで使われる

ちなみに、「浙」には異体字として「淛（せい）」があり、古い文献などではこちらの字形も見られます。

どちらも同じ意味を持ちますが、現代中国では「浙」の方が一般的に使われています。

「浙」は、“曲がりくねる川”を象徴する漢字として、地名や文化の中に深く根付いているのです。

まとめ：さんずいの漢字をマスターして語彙力を上げよう

ここまで、「さんずいに木」「さんずいに英」「さんずいに金」「さんずいに折る」という4つの漢字について学んできました。

最後に、それぞれの読み方・意味を整理し、日常での活用ポイントをまとめましょう。

今回紹介した漢字の読み方一覧表

まずは、これまで登場した4つの漢字を表にまとめて確認しておきましょう。

漢字	構成	音読み	訓読み	主な意味
沐	さんずい＋木	ぼく・もく	あらう・うるおう	洗う・潤う・恩恵を受ける
渶	さんずい＋英	えい・よう	なし	川の名前・水に関する字
淦	さんずい＋金	かん・こん	あか	船底にたまる水・濁った水
浙	さんずい＋折	せつ	なし	中国の川・浙江省の名に使われる

日常での使われ方と知って得する豆知識

これらの漢字は、日常生活で頻繁に使うわけではありませんが、知っておくと知的な印象を与えます。

たとえば、「沐浴（もくよく）」はニュースや育児の話題でも登場しますし、「恩恵を沐（こうむ）る」という表現はビジネス文書などでも見かけます。

また、「浙江省」などの地名を知っていると、海外ニュースを読む際にも理解が深まります。

難読漢字は、“教養の引き出し”として日常の中で輝く知識です。

漢字	使用例	使われる場面
沐	沐浴・恩恵を沐る	育児・ビジネス文書
渶	渶水	中国の地名・文学作品
淦	淦水	地理・歴史・詩文
浙	浙江省	地名・国際ニュース

覚え方のコツとおすすめ勉強法

さんずいが付く漢字は「水」「流れ」「清らかさ」に関係していることが多いです。

そのため、「さんずい＝水」と意識しながら右側のパーツ（木・英・金・折）で意味を連想すると覚えやすくなります。

たとえば、「沐」は木＝髪、「淦」は金＝重さ、「浙」は折＝曲がる、といった具合です。

また、スマホのメモアプリやノートに表を作って整理するのもおすすめです。

右側の部首	イメージ	連想される意味
木	髪が垂れる様子	洗う・清める
英	光り輝く・優れた	流れる水の美しさ
金	重い・沈む	濁った水・沈殿物
折	曲がる	川の流れの形を表す

「さんずい漢字」を覚えることは、単なる知識の暗記ではなく、漢字の成り立ちや文化を楽しむ知的な旅にもなります。

毎日少しずつ触れることで、自然と語彙力も豊かになっていくでしょう。